ゴリラ
2021年10月、公正取引委員会から大手3キャリアへ「スマホ端末価格の自由化」についての指導が入りました。
ネットニュースやTVのニュースで見たことがある方もいると思いますが、正直よくわからないですよね。
多くの人がこのニュースを見ても「自分に関係あるのかどうか?」すらもわからないかと思います。
そこでこの記事で「端末価格自由化が、ユーザーに与える影響」について解説します。
正直、まだハッキリと言い切れない部分は多いですが、ぼんやりした部分も含めて、分かる範囲の解説、予測を書いていきますので、ぜひ参考にしてください。
ただ、ユーザー的には今後も3社のオンラインショップから買うのが一番確実に安く買えそうです。
目次
公正取引委員会から3キャリアへの指導
2021年10月、日経新聞などで「スマホ価格の自由化」に関する報道がありました。
日本経済新聞 スマホ価格、代理店が自由に設定 公取委指導で携帯3社
このニュースをザックリ解説すると以下のようになります。
- 今までは3キャリアのオンラインのスマホ販売価格と、代理店への卸値が同じだった
- 3キャリアは代理店が設定された価格以上で販売することを認めていなかった
- 今回の指導で、3キャリアは代理店への端末の卸値を下げることを決めた
正直、これだけでは何がなんやらだと思うので、以下で順番に解説し、記事の後半では「ユーザーである自分たちにどう関係あるのか?」も解説します。
ドコモ/au/ソフトバンクの代理店/直営店とは?
そもそも、ドコモ/au/ソフトバンクの「代理店」とはなにを指すかがわからないと、このニュースの意味はわかりません。
3キャリアの代理店とは、それぞれのケータイショップのことです。
ドコモはドコモショップ、auはauショップ、ソフトバンクはソフトバンクショップは、本元の会社が運営しているのではなく、他社が運営している代理店です。
3社とも、本元が運営している「直営店」は数えるほどしかありません。
参考までにこちらの表は、ドコモショップの代理店を運営している会社と、その店舗数です。
↓左右にスクロールできます!
代理店名 | 店舗数 | 系列 |
---|---|---|
コネクシオ(株) | 364 | 伊藤忠 |
MXモバリング(株) | 333 | 丸紅 |
(株)ティーガイア | 284 | 住友商事 |
ITX(株) | 167 | ノジマ |
兼松コミュニケーションズ(株) | 122 | 兼松 |
ドコモCS | 88 | NTTドコモ |
「ドコモCS」は100%ドコモの子会社で直営店に近いですが代理店です。
また、auは新宿にある「au SHINJUKU」や札幌にある「au SAPPORO」など8店のみ、大規模な直営店があり、それ以外の全国の数千店は代理店が運営しています。
ソフトバンクも同じく、「ソフトバンク銀座」「ソフトバンク表参道」など少数の直営店があり、それ以外のショップは全て代理店による運営です。
ということで、「代理店=ケータイショップ」を理解した上で、今回の記事をチェックしていきます。
これまで:オンライン価格と卸価格が同じだった
上記記事には、以下のように書かれています。
公取委によると、代理店は携帯大手がオンラインで直販している価格と同じ価格で端末を仕入れ、設定された価格を上回る価格で販売しないように携帯大手から要請されていたという。
ご存知の方もいるかと思いますが、3社とも「公式のオンラインショップ」があり、ユーザーは新規契約、機種変更、MNP(乗り換え)いずれもできます。
▼3社のオンラインショップ▼
これまでは、オンラインショップでのスマホ販売価格と、代理店への卸価格が同じだったそうです。しかも、設定された価格を上回る価格で販売してはいけなかったそうです。
例えば、ドコモオンラインショップのiPhone 13 Proの価格を見てみましょう。
▼例:これまでのiPhone 13 Proの価格▼
- ドコモオンラインショップの価格 142,560円
- ドコモショップの仕入価格 142,560円?
これだと、ドコモショップは142,560円以上で販売する必要がありますが「設定された価格を上回る価格で販売しないように要請されていた」とあるので、あまりに利益を上乗せして販売できなかったようです。
ケータイショップはスマホ本体をいくら売っても売上にはならないので、アプリの紹介報酬や、プランやオプション契約の報酬、さらには「頭金(実質的な店舗の取り分)」頼みになりかねません。
ちなみに記事には以下のようにも書かれています。
ドコモは調査の結果、そのように要請した事実は確認できなかったとした上で、オンラインの価格より販売店への卸価格を下げることを決めた。
どうやら公的に「これ以上の価格で販売してはいけない」と言われていたわけではなく、ある程度は「暗黙の了解」があったようですね。
これから:ショップの仕入価格を下げ、自由に価格設定できる
この問題の根幹は「スマホのオンライン価格と、代理店への卸値が同じ」という点にあります。これでは代理店(ケータイショップ)は、いくらスマホを販売しても利益が出ません。
今後は、
- 3社から代理店への卸値を下げ
- 価格設定の規定もなくす
ことで、代理店が好きな価格をつけられるようになるとのことです。
これにより、代理店はスマホを「安く販売し、契約数を増やす」ことや、「高く販売して、利益を大きくする」など、多様な販売方法を工夫できるようになります。
また、同じニュースの別記事(産経新聞 端末価格、携帯3社の代理店が自由に値付け)には以下のような記載もあります。
KDDIは9月から、代理店が端末を単体で販売する際に奨励金を渡す制度を新設した。ソフトバンクも奨励金を増額し、代理店が安く販売できる環境を整えた。
代理店(ショップ)が端末を販売する度に「奨励金」を渡す制度を新設したとのことです。
ではこれらのことにより、具体的に何が変わるのでしょうか?
結論①キャリアショップの経営が苦しいが、今後も苦しくなる一方
ドコモショップ、auショップ、ソフトバンクショップは、このニュースに限らず、経営が苦しそうな印象があります。
ただでさえ、格安SIMや楽天モバイル、ahamoやpovo2.0など低価格オンラインプランの登場など、各キャリアショップにはここ数年、逆風が吹いているイメージです。
今回のニュースだけを見れば、今後はケータイショップでも自由に価格を決めてスマホを販売できるから、利益も上げやすい!ということになりますが、そう簡単に進むとは思えません。
冒頭で紹介した日経新聞の「分析・考察」でも以下のように書かれています。
これまで代理店は端末販売のリスクを背負う必要がなかったが、代理店が在庫リスクを背負うようになると、今後、経営が立ちゆかなくなり、撤退する代理店も増えるのではないか。オンライン専用プランの台頭もあり、街からキャリアショップが消滅していく日も近そうだ。
やはり今回のニュースが大きな改革になるとは思えず、キャリアショップの経営はジワジワと苦しくなっていくように思います。
ただし「対面で契約したい」「直接サポートしてもらいたい」というユーザーは、これからも一定数は存在し続けます。
今後はそういったニーズに活路を開くなど、新しいビジネスのあり方が期待されます。
結論②ユーザーはオンラインショップから買った方が安い
今回のニュースから分かることは「ドコモも、auも、ソフトバンクも、自社のオンラインショップを使ってほしいと思っている」ということです。
3社からすれば、自社で直販できた方が余計なコストがかかりません。
ユーザーの我々からしてもオンラインで買うと確実に最安で買えます。
確かに今回の指導を受けて、3社が卸価格を下げたとしたら、それに合わせて販売価格を下げるケータイショップもないとは言い切れません。
上で書いたように、全国のショップはそれぞれの代理店の裁量で運営されているので、もしもオンラインよりも安く販売されていたら「ラッキー!」です。
とはいえ、あまりにも安く売っては代理店の儲けが減るので、オンラインよりも安く売られることは少ないかと思われます。
まとめ:今後もオンラインでスマホを買う流れは加速する
10年くらい前は、スマホを買うならケータイショップや家電量販店に行くしかなったのですが、今はオンラインショップで買うのも普通にひとつの選択肢になってきています。
外出の自粛という背景もあり、いまは各社のオンラインショップでスマホを買う人が増えています。
端末価格の自由化を受けて、各キャリアショップを見て回って比較するのもいいですが、「手っ取り早く、安く」を求めるなら、各社のオンラインショップを使うことをおすすめします。
ちなみに:契約するならオンラインショップがお得です
契約を考えているなら、オンラインショップがお得なので、最後にかんたんに説明しておきますね。
理由は以下3点です。
- 頭金・事務手数料がかからない
(auは事務手数料はかかります) - オンライン限定キャンペーンがある
- 来店不要・待ち時間がない
金銭的メリットだけでなく、精神的にも楽ちんで普通にお得です。
また、各社とも直営の公式オンラインショップなので安心して契約できます^^
少しでもお得に契約したいと思っている人は、ぜひオンラインショップでかしこく手続きしてみてください。